「はぁ…今日も授業終わったぁ…」

「奏歌、部活行こう」

「うん!!」

部活に向かう。

体育館は、近くで、すぐについた。

「走るかな~」

と、伸びをした。

ユニフォームに着替え終わったし。

先に、ウォーミングアップでも…

……そういえば。

「あたし、当番忘れてた!!」

教室、戻らなきゃ。

「歩美≪あゆみ≫先輩、あたし、日直で、仕

事忘れてきたので、教室戻ります。試合前ま

でに戻ります!!」

「わかった~」

ヤバイ。

シューズも履いたままでいいや。

廊下を走る。

髪も縛り変えて、ポニーテール。

部活の格好だけど、走ってたら怒られる?

なにもなく、教室まで来た。

「はぁ…良かった」

黒板、消し忘れてた。

黒板消しを持って、消そうとした時。

「秋山さん」

「あっ、はい」

あたしかな~。

違う子だったら、すごく恥ずかしい。

「俺、黒板消しとくから、部活行きなよ」

「いやっ、でも…」

あたし、日直だし。

ていうか、すごく真面目そうな人。

髪は、黒で、少し長め。

髪は寝癖があるわけでもないけど、セットを

してるわけでもない。

自然って感じ。

メガネもかけてて、銀縁。

すっごく真面目そうだけど…

すごく地味かも…

「俺、今日のもうひとりの日直。知ってた?

てか俺、いつも黒板消してたし」

「えぇ!?ほんとに?」

「うん。だから、いいからさ、早く部活行き

なよ」

「いいよ~。あたし、消すから」

「じゃあ、一緒に消そうか」

「うん」

無言で黒板を消す。

「秋山さんさ…俺の名前、知ってる?」

「えっ。秋山クンでしょ?」

「下の名前は?」

「えっと…あたし、まだクラス全員の名前、

覚えてなくて…」

「俺、秋山奏。今日、覚えて。奏歌さん」

「えっ…」

秋山…奏クン。

しかも、あたしの名前…

なんで知ってるの?

「俺、名前が一字多いだけの秋山さん、すぐ

覚えたんだ。俺、自己紹介の日に休んだから

さ、俺のこと、覚えてないんだよ」

「ごめんね。よろしく、秋山クン」

「よろしく」

秋山クンって、見た目は少し地味だけど、す

っごくいい人みたい。

でも…

頭良いのに、なんで一般クラスに…

「手伝ってくれて、ありがと。暇あったら、

体育館きてね!あたし、男バスと試合してる

から」

「うん。じゃあね」