「なっ、ここいいだろ?」

レストランでのディナー。

舜クンは、あたしをエスコートしてくれて、

あたしを助けてくれる。

いつも優しい舜クン。

それは、高校の時と変わっていなくて、高校

の時よりも優しくなっている。

仕事で悩み事があれば、相談に乗ってくれる

し、グチも聞いてくれる。

いつだって、あたしの味方でいてくれる。

あたしは…

どうなんだろう。

舜クンに、なにかしてあげられてるのだろう

か。

あたしは、舜クンに迷惑をかけてるだけなん

じゃないかって。

「だから、また俺になにもできてないって考

えてただろ」

優しく笑う舜クン。

クシャッと髪を撫でて、また話す。

「俺は、奈央が近くにいてくれるだけでいい

んだ。それだけで、頑張れんだよ」

「うん…」

「心配性」

って言って、笑った。

ごめん、舜クン。

あたし、そんなにいい子じゃないよ。

舜クンは、仕事もできて、性格もいい。

その上、容姿も完璧だから、会社でもモテて

いるらしい。

そんな舜クンに、あたしは似合わないよ。

でも、絶対にあたしはここの場所を渡さない

から。