「奈央」

「あっ、舜クン」

あたしが映画の声優をやってから、8年。

あたしが、光輝クンをあきらめようと思って

から、8年が経った。

大学も卒業して、就職して。

やっと生活が安定してきた頃。

あたしは、結婚を控えている。

「奈央、どこ行く?」

「ん~、舜クンは?どこに行きたい?」

「じゃあ、レストラン行こうか。俺、穴場ス

ポット見つけたんだ」

「ほんと?じゃあ、連れてって?」

キュッと舜クンの腕に掴まる。

舜クンも、あたしの行動に笑顔を返して、歩

き出す。

…これが、今のあたしの普通。

あたしは、これでいいの。









…あたしは、舜クンが好き。