続々と人が乗ってきて。

バスの中は、メイクさんや、ヘアデザイナー

さんや、衣装さんなどなど…人でいっぱいに

なった。

また、その人たちの商売道具で車を埋め尽く

した。

「あたしたちが来たときは、ガラガラだった

のに、もう人でいっぱいだね~。ねっ、奈央

ちゃん」

「そうですよね~。さっきまで、全く人がい

なかったのに、もうほとんど席が残ってない

ですよ~」

今あたしが座ってる、もうひとつ前の席以外

は、もう誰かか物が居座っている。

…たった4人の人のために、こんなにたくさ

んの人が必要なんだ。

あたしも実穂さんも、普段はこんな状況なん

て見ないからびっくり。

…でも、光輝クンは、こんな状況でもいつも



通りの顔してるね。



…あたしたちの住む世界は、こんなに違うん

だね。



あたしと光輝クンが、同じバスに乗ってるっ

てこと自体、すごいことなんだ。

そんな人を好きになれたことが、すっごいこ

となんだね。



…嘘でも、好きって言われたこと。

それは、奇跡を越えた、幻のようなこと。

そんな人に恋できただけで、いい。

それ自体、すごく幸せなこと。



好き…だよ。





好き…でした。