きっと小学生だったと思う。
秋もだんだん終わりに近付く頃、僕らは二人で丘にいた。
【獅子座流星群】
年に一度11月の半ばから終盤に出現する、いわゆる沢山の星。

必ず冬にやってくる獅子座流星群。
君の瞳には、きっとこの流星群が夢に見えてたと思う。

彼女は、父子家庭だった。
母親を早くに亡くし、父親と二人暮らしだと言っていた気がする。
でも、これはぼんやりとしていて昔のことだから、あまり覚えてない。

彼女は、とても天真爛漫だった。
いくら寒くても外で遊ぶし、暑くてもばてたりせずに遊んでいた。

いっぽう僕は、そんな彼女を見つめているだけだった。
なぜかって?
それは僕が、心臓に病気を抱えていたから。
いや、“今も”抱えている。

生まれつきの病気だから、あまりピンとこない。
こんなもんなのかと思っていたからね。
けれど、外で元気に走り回れない現実は、
まだ幼かった僕には早すぎたのかもしれない。
僕は、病院のベッドで寝たきり。
けれど、ほかの子は走り回れる。

僕は現実から逃げ出したかった。
つまらない毎日に飽き飽きしていた。
そんな時、彼女に出会った。

その子は「カナ」と言った。
カナは、【慢性骨髄性白血病】だった。

けれど、カナはいたって元気だったんだ。
病気なんて感じさせない性格、そして笑顔。
僕は小さいながらも、カナに惚れていた。

そう、カナに恋してたんだ。