そんな時、神様はさらに私を混乱の深い海へと突き落とすんだ。
そう、私はもう、見捨てられているのかもしれない――――――――…
「なんだ、先約か。」
住宅街に響くその声の主は今、ここにいるはずがない人のもの。
カツカツと、革靴の底がコンクリートの地面とぶつかる高い音は私達とどんどん距離を詰めてくる。
清水くんに抱き締められたまま、頭だけ声がした方向に向け視界に映った人物。私を見放した神様が恨めしかった。
「三浦…さん…。」
「…お邪魔だった?」
困惑する私に微笑を浮かべそう問いかけてくる三浦さん。何で、何とも思ってないみたいな顔で笑ってるの?
早く会いたい、そう言ってたのに。どうして苛立った顔一つしてくれないの?
「……(そんなの、私が彼女じゃないからって理由に決まってんじゃん。)」


