囚われジョーカー【完】





「清水くんに、関係ないじゃない…!」


深夜の閑散とした住宅街には、私の怒りが含まれた声は酷く大きくなって響いた。

驚いた顔に変わる清水くんを見、何て恥ずかしいことを私はしたんだと深く後悔。



今のは、三浦さんと自分の関係をはっきり言えないことへの苛立ち。

清水くんに、八つ当たりしてしまったようなものだ。



「…あ、ごめ…」

「関係なくなんか、ないよ。」

「え…?」


少し目を伏せがちにして俯く清水くんは、ぼそりと呟く。

上手く聞こえなくて再度聞き直した私の身体は次の瞬間、外の冷たい風を遮断するように包まれた。



「篠宮。」

頭上から清水くんの声が聞こえる。

背中に回る腕は力強く強引なのに、刻まれる心臓の音は早い。





嗚呼、私――――

清水くんに抱き締められたんだ。