「え、俺何かおかしかった?」
「ううん、ごめん何でもないよ。」
「えー、気になるじゃん!」
「流して。」
そんなやり取りを交わしながら公園を出た私達は、二人肩を並べてアパートまでの帰路を辿った。
その間も清水くんが話しかけてくれていたから会話が途切れることも気まずくなることもなく。
つくづく清水くんの明るさには救われる。
「…じゃあ、ありがとう清水くん。」
アパートの前まで送ってもらい、お礼を言って踵を返そうとしたのだが。
ガシッと、力強く何かが私の手首を掴んだ。
誰?なんて思わなくても犯人は清水くんで。ぴたっと静止した二人の間の空気が急に重たくなる。
「篠宮さあ…。」
清水くんの声色に含まれるものは真剣そのもの。


