その仕草は酷く妖艶なそれを醸し出していて、おもわずじっと見つめてしまう。
吸い込んだ煙を吐き出し。
「菫、」
彼は独白に近いと思うほどぽつりと、私の名を空間へと刻んだ。
「はい。」
「仕事、行きたくねー…。」
「駄目ですよ。」
あくまで冷静沈着。
そんな私を冷めたような目で見据えてくる男の名を私も呼んでやる。
「三浦さん、遅刻しますよ。」
「ああ…、」
「゙社長゙が遅れるなんていけませんよ。」
そう言った私に三浦さんは、まだ社長候補だし、と拗ねたように言うもんだから「どっちでもいいです」と切り捨てた。