私結構清水ちゃんのこと応援してたんだから、とはにかむ彼女の姿はいつもより大人に見えた。

て言うか、俺よりも年上なんだけどさ。



――゙明日香さん゙と呼ぶ篠宮と違って、俺は彼女を先輩にも関わらず゙瀬尾ちゃん゙と呼んでいる。


何でだっけ?ふとそう思い記憶を遡れば、今も働くあの喫茶店のバイトの初日へと辿り着いた。




確か、あの日は一応緊張していて。扉の前でドアを開けるタイミングを見計らっていた。

今だ今だと思う割に、いやまだだなんて意味不明なことを思い挙動不審な俺。



―――あー、そう言えば。この時だったか、恋ってやつに落ちたのも。




「…どうかしました?」

「あ、いえ…」



背後からかけられた警戒心を孕ませた女性の声に、ヤバいと振り返った俺は息をのんだ。