一安心、ふうっと息を吐き出した私を見下ろしていた三浦さんはムッとした声色で


「何、嫌なのかよ。」

「…嫌とかじゃ…」


振り返って見上げてみれば、拗ねて不機嫌そうな綺麗な顔。



私より大人のくせに、どうしてこう我が儘なのかなあ三浦さんって。

てかまず、今私食器洗ってるの見て分かりませんか?そう睨みながら言った私がどうすれば従順になるかを、この人は承知している。




「俺と片付け、どっちが好きなの?」

「……、」

「…おいで、菫。」



嗚呼、本当にズルイ人。

そんなこと言われて断れるほど私は自分の気持ちに逆らうなんて出来ない。愚か、なんですよ。



そっと三浦さんが来ていたスーツの裾を掴んだ私に、男は満足げに頬を緩めた。