「どーした?」
「…、」
「…あー…、緊張、してるよな。」
さっきまで、私のことなんて気にもかけてなかったくせに。
今更、そんな優しい声出されたって状況が変わるわけでもない。
なんて、考える私はとことん可愛げのない女である。こんなんじゃ、春海に呆れられてしまうのも時間の問題かもしれない。
ぽん、と頭の上にのせられた温かく大きな手。不覚にも胸がきゅっと締め付けられ、幸せだが苦しくなる。
「菫、だいじょーぶ。」
「……。」
「お前なら、絶対大丈夫だから安心しろ。」
そんな自信どこから出てくるんだ。何の確信を持ってそんなこと言ってるんだと、ほぼ喧嘩腰な台詞を心の中で呟きながら、視線では春海を睨むように見つめるだけ。
春海を信用してないわけじゃないけど。
…それは春海の理想じゃないか。
気に入る気に入らないを決めるのは、春海ではなく御両親なんだ。
×(バツ)と評価されれば、私はアウト。