じわじわと頬を浸食し始める赤を、私は隠すように深呼吸を繰り返した。
―――私が春海に贈ったのは、彼がよく身に纏っているスーツと同じブランドのジッポ。
ダークブルーの小さな小さな石でそのブランドのロゴが飾られている。
値段は、やはり張った。でも納得するものをあげたかったし、春海がここのブランドを好きなのは確信はないも分かっていた。
バイト代、今まで貯めといて良かった。
春海はじっとそのジッポを見つめながら、すぐに私へと視線を移した。
ドキリ、跳ねる胸。
「菫、キスしていい?」
「ッ、は…!?」
「お前可愛すぎるわ、マジで。」
どうやら、予想に反して凄く喜んでくれたらしく。
春海は瞳を輝かせながらそのジッポをカチカチと弄っていた。
ヘビースモーカーな彼にあげる物と考えたとき、捻りのない私の頭はこれしか思いつかなかったのだ。