うずうずと落ち着かない気持ちを隠しきれずそわそわとしている私。
はい、と言って差し出して。
おめでとうと言えばいいんだ。ただ、それだけのことなのに…。
変な所で臆病者の私は、そんな簡単なことを実行する勇気が出ない。馬鹿みたいだと誰か酷く罵って欲しい。
と。
「菫ー。」
「っ、う、あ、はい…?」
「……。」
「(や、やばい…!)」
あからさまに動揺を見せてしまった私に、春海は訝しげに窺うような視線を向けてきたが。それはゆるく視線を逸らしスルーしておいた。
眉根を寄せる春海の私を見つめる鋭い双眼が、街頭の灯りに一瞬ギラリと妖しい輝きを見せた。
「…今日、ありがとな。」
「…。」
「いや、マジで自分の誕生日とか忘れてたから。…うん、嬉しかった。」
「…。」
「ありがとう、愛してるよ菫。」
「ッ――――!!」
いきなり、とんでもない爆弾を投下してきた春海に脳の芯がくらりと揺れた。


