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「サンキューなー。」
「今日はありがとうございました。」
玄関先で、小さく頭を下げて会釈する私と気怠げな声で別れを告げる春海。
麻乃さんと和也さんはにっこりと笑いながら軽く手を振って「またね」と言ってくれた。
現時刻、23時過ぎ。
私と春海は肩を並べて春海のマンションへの帰路を辿っていた。
そんな中。
私の頭を過ぎるのは、肩に掛かるバッグの中にその存在を主張する―――――――…
「(…プレゼント、いつ渡そう。)」
先日、和也さんから誕生日を聞いた私は何とか用事を片付けて昨日それを買いに走ったわけだが。
あまり悩んでもなく、直感でこれだと購入した私は。喜んで貰える自信がない、微塵も。
ネイビーブルーの包装紙に、金色のリボンでラッピングされた小さな箱を思い出すだけで胸が高鳴りを見せる。


