唇が離れた瞬間、菫はまた頬を真っ赤にさせて吠えた。
「何してるんですか…ッッ!」
「キス。」
「…分かってます!」
下唇を噛みしめ、瞳に羞恥からか涙を溜める菫の耳に俺は自身の口元を寄せる。
びくり、と微細に肩を上げた菫の耳に吐息混じりの声で囁く。
「菫が、不安そうな顔、するから。」
「…、」
「菫は、俺=煙草って、根本が成り立ってたんだ?」
「…ふん。」
そっぽを向くように視線を顔ごと逸らした菫の頭をまた少々乱暴に撫でた。
が。
俺の手を払うように菫の腕を引っ張った麻乃は、俺と和也に視線を向けて悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「2人で、10秒後にリビングに入って来てね。」
そう言うや否や、麻乃は菫の腕を引いて足早にリビングへと戻って行った。
後ろで和也がクスクスと笑う音がしたが、俺はただ首を傾げるだけだった。


