囚われジョーカー【完】




犯人は勿論、菫で。

どうした?と囁くように問いかけた俺に、菫はどこか拗ねたような声色で呟いた。



「…煙草、」

「煙草?」

「……煙草の香りが、しない。」



菫の言いたいことが分かった俺は、ああと一度視線で天井を仰ぎ。

ぽん、と頭に手をのせて撫でた。



「今日は出回りであんまり吸ってないんだ。」

「……なるほど。」

「…煙草、嫌いなんじゃないの?」

「好きではないです。……でも、」




―――煙草の香りがしないと、春海じゃない気がする



そう言って、困ったように笑った菫の唇に俺は噛みつくようなキスを送った。


つまりは耐えられなかったのである。



和也と麻乃が2人声を揃えて「うっわ」と言う声が聞こえたけどそこは無視。


だって、今回のは菫が悪いと思う。