そう呟くように呼べば、三浦さんは少し照れ臭そうに笑い私の体を自身の腕の中へと閉じこめた。
トクトクと心地良いリズムで刻まれる鼓動に身を委ねるよう瞼を下ろした。いつだって、私の気持ちが1番安らぐのは三浦さんの傍だと思い知らされた。
「…そう、呼んで。」
「……春海?」
「ん。」
「…唐突、ですね?」
「んー…だってさ、子供できた時にも゙三浦さん゙だったら何か変じゃん。」
私は、三浦さんの胸板に寄り添っていた左頬を離し顔を上げた。
双眼に映るのはあの優しくもどこか愉しげな微笑。
――――…子供できたら、なんて単語が当たり前のように三浦さんの口から紡がれたことに少し驚いた。
結婚、なんて現実味のない言葉を約束されてもイマイチぴんとこないのに、子供なんて…。
三浦さんは完璧に私の心を囚えて離さない。


