「不意打ちは狡い。」
「…帰るぞ。」
「正面から言って下さい。」
「キャラじゃない。」
「ご冗談を。」
いつもは恥ずかしい台詞ベラベラ言うくせに、こんなときにキャラなんて気にしないでほしい。
三浦さんは、数秒私を真っ直ぐ見下ろしていたが。はーっと溜め息を吐いたと同時、私の唇へと流れるようにキスを落とした。
瞬間、火を噴くように予想以上顔を真っ赤にさせた私。
三浦さんは一瞬目を大きく見開いて瞬かせると、嬉しそうにそれを細めて無防備に笑った。
「菫、好きだから。」
「…ッ、…」
「ああ、それから挨拶行かなきゃだなー。」
下唇を噛み締めて涙を堪える私の頭に手を乗せ呟いた三浦さんに、首を傾げて見せれば。
「お前の親に」と言う三浦さんの言葉が最後、私の涙腺は崩壊した。
腕で自分の目元を隠しはするが、泣くにつれて大きくなる嗚咽で泣いていることはバレバレだろう。


