―――バイトが終わり、お店の裏口から路地に出た私は表に回り三浦さんのいるであろうマンションを目指す。
今日は、三浦さんの部屋に帰ると約束したし仕方ない。
そう、早くなる鼓動の音に冷静さを取り戻すため頭の中で復唱する。
夜風の冷たさが熱を孕んだ頬を撫で心地よかった。
清々しい気持ち、なんて今は言い切れないけどどこかスッキリとした感じがあって。
自然にマンションへと向かう足取りが速くなる。
会いたい、早く早く、三浦さんに会いたい。
自然にゆるむ頬が三浦さんへの思いすべて表しているようで、ポーカーフェイスはどこへやら。
ダサ、と独白に呟きふと視線を前方へと向けた私は。
見えた、だらだらと歩くその後ろ姿に足を止め瞬きを繰り返した。
何で?何で、いるんだあの人。
いつもは車のくせに、どうして今日は歩きで帰宅してんだ。


