滑り出すように道を走る車の窓から流れる景色を見ていれば、「菫」と私を呼ぶ叔父さんの横顔へと顔を向けると。
至って真剣な顔でハンドルを握る叔父さんは、真っ直ぐ前を向いたまま私に言葉を投げかけた。
「…どうなってんの?」
「……、」
主語なんてあったもんじゃない叔父さんの問い掛けだったが、私には何を聞きたいとしてるのかは直ぐに分かった。
瞬間、頭を過ぎるのは前に叔父さんが私に言った言葉。
―――こそこそするような恋愛はするな。
叔父さんの兄、…私の両親を悲しませるようなことはするなと優しいが戒めるような口調でそう言った叔父さん。
うん、その通りなんだ。私が今までしてきた行為は愚か者の行為。両親を悲しませる、分かり切った行いだったのだ。
ただ三浦さんを離したくなくて。
でも、早く離れたくて。
矛盾した思いが、さらに私に負い目や背徳感、罪悪感を感じさせて。
海底へと沈ませた。


