「おはよ篠宮。」
「あ、…おはよう清水くん。」
大学の門の前辺りで、後ろから肩を軽く叩かれ振り返れば優しく微笑む清水くん。
でも今はどっちかと言わなくてもお昼だから「こんにちは」だよね?そう言えば細かいことは気にすんな、とはにかんだ清水くん。
「あ、そう言えば。何か瀬尾ちゃんが来週飯でも行こうってさ。篠宮、大丈夫?」
「うん。大丈夫だと思う。」
「そっか、良かった。」
にこにこと、気まずさなんて感じさせてもらえないような笑顔を私に向けてくれる清水くんに感謝した。
と同時にやはり胸の奥がチクリと痛んだけど、私が求めたことへの代償なら受けるべきこと。
結局は、彼を利用していたのは私自身だったのだから。
そのことから逃げるのは、私のプライドもだけど良心が許さない。
「よ、清水ー。」
「おー駒川、はよ。」
―――清水くんは話し掛けられた友人と共に先に行ってしまった。


