それだけ言うとカズヤさんは帰って行った。
何だったんだあの人、と溜め息を吐き出す音が閑静な玄関に響いた。
……てか私、これからドア穴覗くのもトラウマになりそうなんだけど。
その理由は先程の来客の仕業で、私がドア穴を覗いた時。向こうも自分の目が見えるくらいの位置から覗いていたからだ。
あんな事する24歳、初めて見たな。何だか一気に体力を消耗してしまった気がしてならないのはきっと気のせいではない。
まあ、カズヤさんが与えてくれた情報を麻乃さんにも確認したら本当だと返ってきたし。
サプライズ、考えなきゃなー…。
ぼーっとソファーに座っていれば、何時の間にか大学に行かなきゃいけない時間にまでなっていて。
私の無心の時間、何時までも保つんだと感心した。
スニーカーを履き、部屋を出た私の頬を撫でる風は少し暖かかった。


