入って、と言われ三浦さんによって開けられたドアの隙間から室内へ身を滑り込ませる。


瞬間香るキツイ煙草のそれは、最早染み込んでるのだろう。



三浦さん、と呼んだ私の眉には深いしわが寄っていて。それを見た三浦さんは多少目を見開いていたが直ぐに無表情で「何」と言った。


飄々と言っているが、これは―――――…




「換気とか、して下さいよ。これじゃ部屋にあるもの全部に煙草のにおい染み着きます。」

「んー…。マーキングと思ってれば…」

「無理です。」

「…。」

「換気するのと、消臭剤置いて下さいね。」



そう言い捨ててさっさとリビングへと入ってやれば、後からふてくされた様子で入って来る三浦さん。


ちょっと言い過ぎたかな、と振り返れば三浦さんは壁にもたれかかった大勢で何か考えてるような目でジッと私を見ていた。



何だ、と小首を傾げた私に三浦さんはニヒルな笑みを浮かべた。