暫く重なっていた唇は、三浦さんから離された。寂しい、なんて考える私は変態というか欲多きというか。


そんな思いが余程顔に出ていたのか、三浦さんはクツクツと喉奥で笑うと私の頭を撫でて「また部屋でな」と囁いた。



期待を抱く自分自身の心は悔しいが、言い返すことは出来るわけがなく。




私の腕を引いたまま自分の部屋がある廊下の奥へ向かって歩いて行く三浦さんの後ろ姿に、私は呟いた。



「さっきの返事も、分かってるくせに。」


呟くと言っても、この静まった空間では普通に話しているのと大して変わらない。



三浦さんは顔だけで振り返ると、その口角を意地悪に持ち上げて見せた。


自身に満ち溢れた横顔は、まったくもってその通りだと言っていて。変な所で意地っ張りな私はふんっと視線を逸らしてそっぽを向いた。


直ぐにくすくすと聞こえてくる三浦さんの笑う音に、胸がきゅんと疼きを覚えた。