それに「ん?」と優しい声で返してくれた三浦さんの背中に、私は遠慮がちに腕を回した。
ピクリと微動した三浦さんの身体。
が、直ぐに長い腕が私の腰を抱き寄せて距離をゼロにする。
その温かさが愛しくて、三浦さんの熱が離れないように背中へ回す腕に力を込めた。
ふわりと香る濃い煙草と混ざるシトラス系な香水に、安堵にも似た息が漏れた。
「…三浦さん、好きです。」
「…。」
「いえ、好きよりもっと…愛してます。」
「……っあー、バカ。」
そう呟き一度天井を視線で仰いだ三浦さんは、次の瞬間には優しく煙草の苦味があるのに甘いと感じるキスを私に落とした。
うっすら開いた視線に映る、瞼を閉じた端正な顔に私の心臓は更に鼓動の速度を上げた。
廊下の電気に照らされ、長い睫毛の影が頬にさしている。
綺麗な顔だよなあ、と改めて思った。


