囚われジョーカー【完】




“で。来てくれんだろ?”

「…聞かなくても、答えなんて分かってるくせに。」



そう言えば、ははっと小さく笑った三浦さん。


機械を通して私の鼓膜を揺らす声は、いつもより幾分か低くて。そこにまた胸がトクンと跳ねた。




“待ってる。”

「、」

“早く、来て。”


それだけ言い残すと、一方的に切られた通話。あの愛しい声は、悲しくも規則正しい機械音となってしまう。



私も携帯を閉じると、それをバッグにしまう。黒の世界に光るダイヤを仰ぎ見て、はーっと息を吐き出した。


――――失うものは、失った。傷付けた人だっている。これからも、何があるかは予想できない。



言えることは、幸せだけじゃないということ。



でも、私は単純な女だから。本気でこう思うんだ。


゙三浦さんがいれば、どんな困難でも大丈夫゙と。