その考えは、三浦さんにはなかったようで。思いが通じたなら俺んちに帰って来るなんて考えはちょっと困る。
いや、別に嫌とかじゃなくて―――…。
寧ろ、そう思ってくれるほどの存在になれたということが嬉しい。
大袈裟に聞こえるけど、私にてって三浦さんは酸素と等しいとさえ思ってしまうことがある。つまりは、私は三浦さんがいなければ死んでしまう。
これ聞かれたら完璧にひかれるかな…。
なんて考えたら、少し自嘲的にだが笑ってしまった。それを当然不思議に思ったらしい三浦さんの声が携帯越しに届く。
“俺、何か可笑しいこと言った?”
「いえ、違うんです。気にしないで。」
“(逆に気になるっつーの…。)”
数秒の沈黙の後、三浦さんの「まあいいや」という呟きが聞こえて。私もふぅ、と息を吐き出した。


