「今度2人で食事でもしよう?」
「はい、是非。」
「あ、でも春海さんには内緒だよ?」
「…何でですか?」
男性の友人と会うならまだ分かるも、女性の麻乃さんから言われたその言葉に私は首を傾げ問い返した。
すると、麻乃さんは可笑しそうにふふっと笑い。囁いた。
「春海さん、ヤキモチ妬きだから。自分と居る時間とか自分の菫ちゃんが連れてかれるの、嫌なのよ。」
「、」
「だから、内緒なの。」
にひっと悪戯に口角を引き上げた麻乃さん。綺麗にネイルアートが施された爪を口元に添える仕草はやはり大人の女性。
じゃあまた、と言葉を残して指先をひらひらと振る彼女に私も手を振って返せば。
一瞬驚きを浮かべた目は直ぐに嬉々と細められた。


