ほんのり頬を桃色に染めた麻乃さんは、口角を緩めきっている。
細められた瞳からは、幸せが溢れ出していた。
「お、おめでとうございます。」
「ありがとー。あ、春海さんとはどうだった?ちゃんと話出来た?」
「はい。御陰様で…」
ペコリ、小さく頭を下げた私に麻乃さんは「良かった」と言って笑ってくれた。
笑顔が絶えない、綺麗な彼女とは携帯番号とメアドを交換した。
明日香さんの座る席についた麻乃さん。明日香さんと同じく叔父さんのカフェラテを注文していた。
――――それにしても。
「(カズヤさん、キザだなあー…。)」
あのチャラけた意地の悪い雰囲気からは予想できない台詞を麻乃さんから聞いて、正直信じがたいものがある。
別にカズヤさんが嫌いとかはなくて、ただ何となくだ。
まあ、三浦さんは絶対言わなそうな台詞だから。そこまで愛されてる麻乃さんが羨ましいと思ったのも事実。


