大人な女性の雰囲気とは違い、可愛らしい無邪気な笑顔のギャップに素直に羨ましいと思う。
だって、私はこんな素直に笑顔を相手に向けるなんて事できないし。
全てに対して、控えめを意識してしまう。
「そうだ私、菫ちゃんに話したいことがあったの!」
「話したいこと、ですか?」
自然に少し眉根を寄せてしまった私の手を麻乃さんは気にすることなく握ると。
綺麗に口角を持ち上げ、小声で囁いた。
「和也と、結婚が決まったの。」
「……………え?」
驚き、口を開いたままぽかんとする私。脳内ではただただ麻乃さんの言葉を反復するだけ。
それを見た麻乃さんは、「えっと」と困ったように笑いまた言の葉を紡ぐ。
「昨日、やっと社長に認めてもらえて。のろけになるけど、和也が゙お得意さんの娘と見合いなんかしなくても、俺がこの会社もコイツも守ってやる゙って…。」


