心なしかスッキリしたような明るい声で私を呼んだ清水くん。
あのさ、という声に何?と返せば。
「ピアス付けてくれて、ありがとう。」
「……、」
「篠宮、幸せになれよ。」
先に行く、と言う声に続いて室内に響いたドアの開く音と。バタン、閉まる音。
清水くんは先にホールへと出てしまったようだ。
スタッフルームには私一人。
ぽろ、と。目尻から流れ床に落ちたそれは、清水くんへの謝罪と感謝。
こんな感謝、迷惑かもしれないけれど。自分では制御することが出来なかった。
幸せになれよ
そう言ってくれた彼の幸せを、私も心から願う。
ロッカーに入っているタオルで涙を拭き、気合いを入れ直してホールに出れば。
目が合った清水くんは、私にいつも通りのあの笑顔を向けてくれた。


