囚われジョーカー【完】




ロッカー越しの会話が、私の弱さだ。

偶然この状況下とはいえ、お互いに着替えは済ませている。顔を見て話をすることは出来る。


が。
それをしない私は、やはり怖い。



「篠宮、俺、やっぱお前のこと好きだわ。」

「…。」

「気持ちに答えろなんて、言えねーし。言わねーけどさ。」

「…。」

「自分自身、諦めがつくまで……好きでいさせて。」



数秒の間をあけて、分かったと返事をした私に返ってきたのは。

安心したような、でもやはり悲しそうな「ありがとう」だった。


―――胸が痛い痛い、イタイ。




あの優しくて明るい笑顔を、きっと彼はもう心から私には向けてくれない。

でも、それは私が望んだことへの代償に過ぎないのだ。だから傷付くなんて選択肢、私には与えてはもらえない。



「後さ、篠宮。」

「…ん?」