和也さんも、そっくりだけど…。私は三浦さんの纏う空気が好き。
――なんて、本人に言えるはずもないんだけどね。
そんなこんなで、今、私の左耳朶にはスミレの花がモチーフなそれが光っている。
まだ何か当たったりしたらツキリとした痛みが走るけど大したことではない。
バイト先の前、遂に到着してしまったそこの入り口にあるお知らせやらなんやら書かれたボードを見る後ろ姿は、見覚えがあった。
確認するようにゆっくりと近付き、その横顔を見てやはりと思う。
私は控え目に声をかけた。
「明日香さん、どうしたんですか?」
「わっ、…あ、菫ちゃーん!いやね、ちょっと立ち寄ってみただけなんだけどねー。」
あははと陽気に笑う彼女は、今日は何時も着ているパンツスーツではなくスカートだった。


