「ファーストピアス、持ってんの?」
「んー…、普通の、でもいいんですかね?」
いいんじゃね?と何とも適当な返事が返ってきたが、まあ、何でもいっかと私自身適当。
付けるピアスは、一つしかないからどれにしようなんて迷わない。
鞄の中からメイクポーチを取り出し、その中から小さな袋に入れていた私と同じ名前の花がモチーフなそれを取り出す。
コロン、掌の上で転がるそれを見た三浦さんが煙草をくわえながら質問を投げかけてきた。
「それ、スミレ?」
「はい。」
「似合うな、それ。」
……うれしい、嬉しいのは確かに胸の中に感じているのだけど。
スッキリとした心でそれを受け止められなくなってしまう。その理由は、三浦さんにやはり言った方がいいのか。
三浦さん、と呼び掛ければ「ん?」と優しく短い返事が返ってきて。


