ああもう、こんな恐ろしい開け方になるくらいなら三浦さんに話すんじゃなかった。
耳朶から氷が離れ、遂にかと胸が嫌に跳ねた。
「…菫、」
「はい。」
「いくよ?」
「……はい。」
ふっと息を吐いた瞬間、チクリと耳朶に鋭い痛みが走る。こんな開け方は医療的にはいいとは言えないのだろうけど。
出来た、と三浦さんの囁きが鼓膜を叩く。ジンジンとする耳朶の痛みが穴の開いた証拠。
「どう?」
「…痛い、ですね。」
「まあそりゃそうだろなー。右も開ける?」
そう問い掛けられ、私は即座に首を横に振った。バランス的に両方開けた方がいいのだろうけど、三浦さんの開け方(と言うよりはあの笑み)は恐ろしすぎる。
「なーんだ」と言の葉をもらした三浦さんを横目に捉え、やっぱりと確信。
ドがつくS気質な彼には、涙目になる私がお気に召したと思われた。


