不意に重なっただけの唇に、意表を突かれぼっと頬に熱が灯る。
アツイ、顔も胸も、初めて向けられた甘美な笑みは最早゙毒゙である。
「菫、俺は好きでもない奴と寝たりしない。」
「……。」
「この意味、分かる?」
焦らさないで、教えてよ。その意を込めて眼光鋭く睨めばくすりと愉しげに笑われてしまう。
それに少し拗ねたように唇を尖らせ視線を逸らしたその時。
「菫、好きだ。」
―――夢なら、醒めて。いや、醒めないで。
このまま私の意識ごと貴方に閉じ込めて、離さないでいてくれればいい。
もう私は、貴方に溺れ
貴方という檻に囚われた。
「三浦さん、好きです。」
「…知ってるよ。」
「三浦さんは、狡い。」
「…そうだな。」
俺は狡い、自嘲気味に呟いた三浦さん。違う、狡いのは私だって同じ。


