「てめぇ、さっさと歩け!」

「えー。ヤメテよ三浦さーん。」



そんな会話の声はどんどん私達が居るリビングへと近寄って来、ドアが開く。

顔を出したのは怖い顔をする三浦さんと、ニヤニヤとからかうようにそれを見て笑うもう一人の三浦さん。



「和也!?」

「麻乃、コイツなんとかしてー。」

「…また何かしたんですか。」

「ただ部屋の前にお汁粉の缶置いてただけじゃん。」




その意味の分からない嫌がらせに、三浦さんは何やら怒鳴っている。

ふと、三浦さんの右手へ視線を移せばその手には缶のお汁粉がしっかり握られていた。



ふらり、私と麻乃さんが座るソファーへ歩み寄ってきたカズヤさんは。

にこりと微笑むと、背もたれに手をつき私に視線を向けてきた。



「夕方振り、菫ちゃん。」

「……はあ。」