何時も、無表情。
時々感情のこもった瞳で私を見るけれど、それは決まって切なげだった。
だから三浦さんの気持ちを知ることなんて出来なくて。出来る日なんて来ないと諦めたふりしてた。
三浦さんが与えてくれる熱も、優しさも、苦さも、濃い煙草の匂いも、シトラスの香水も、見えない束縛も、言葉も、全部全部全部。
愛しくて、でめ切なくて苦しくて仕方なかった。
身体は繋がるのに、どうして心はどこかに置いてけぼりをくらっているのか。
どうして、一番大事なところが欠けているのか。
不満は腐るほどある。でもそれを言えずに、大人を振る舞う馬鹿な私が一番嫌いだった。
「菫、お前俺を求めるか?」
だから、今、三浦さんが私に向けているこの熱っぽく優しい瞳が涙腺を刺激してくる。
求めるか、そんなん、答えなんて聞かなくても分かるじゃない。今更、聞かなくても分かるじゃない。


