囚われジョーカー【完】




かれこれ、三浦さんとのやりとりが続いてもう30分は経っただろうか。後30分もすれば日付が変わり今日から明日になる。



深夜と呼ぶにも過言ではない現時刻、閑静なこの空間、ドア越しでも互いの呼吸や微動の音でも聞こえてくる。


こんな静かな夜は、何時振りだろうか。



そう言えば、三浦さんと越す夜は何時だって今日みたいに静かだった気がする。それは、私が三浦さんと二人だけの世界を望んでいたからかもしれないけれど。


白いシーツの上、三浦さんの熱に包まれて眠る時間は幸せだった。




戻らない時をいつまでも引き摺る私はいい加減鬱陶しい。



と。

ドアの向こうの三浦さんが、私の名前を呼ぶから返事はせず顔だけ半分ドアに振り返った。



「やっぱ、開けて。」

「…無理です。」

「頼む。話がしたい。」

「私は話すことなんてないので、お引き取りを。」

「菫…」




そんな、切なそうに私の名前を


   呼バナイデ。