囚われジョーカー【完】




ついつい、口が先走ってしまった。


が。

別に可笑しいことは言っていないし、平気だろう。三浦さんは、私ではなくアサノさんが1番なんだから。




――――そうだ、三浦さんの双子の兄弟が私を訪ねてきた日。


あの日三浦さんにそっくりな男性に、小さな期待を一瞬抱いた。



゙もしかして、私が大通りで見たのは三浦さんではなくてこの人なんじゃないか?゙と。


でもそれは、只の私の理想論でしかなくて。



あの人が私に言った「邪魔しないで」という言葉と、実際三浦さんが電話口で紡いだ「アサノ」という名前が決定的。


アサノさんを傍に置くのは、あの人ではなく三浦さん。






「…先日、三浦さんの御兄弟がいらっしゃいました。」

「は…?」

「アサノさんとの仲を邪魔するな、と言いに来ました。」

「……ッ、」



ドア越しでも分かる。私の言葉に、今三浦さんは明らかに動揺を隠せない様子だ。