はあー、と溜め息を吐き出しながら片手で目元から上を覆う。
涙はさっきの会話のおかげでなんとか引っ込んだけれど、まだ安心は出来ない。三浦さんはいきなり爆弾を投下して来るから。
“菫、言い逃げするし。”
「そう言うなら、引き止めれば良かったんじゃ?」
“驚きで動けなかったんだよ。”
「ほんと、今更ですね。6日、何も言ってこなかったじゃないですか。」
“……。”
今更、そう今更だ。そんなこと言われて、馬鹿な私は懲りもせず期待はしてしまうが信じはしない。
会えば今度こそ離れられなくなるような気がして、怖い。
三浦さんは暫くの間黙り込む。沈黙の時間がいくらか流れて、ぼそり。
“…開けて。”
「は…?」
――――ピンポーン
何を?そう問い掛けようとした私の言葉は、今のこの部屋には不似合いな音によって遮られた。


