点々とある街灯の光が真っ暗闇を照らしてくれる。1人はどこか不安な気持ちもあったが、数メートル先に見えるアパートに息を吐いた。
と。
アパートの下、丁度コンクリートの塀に横付けするように停まる車には見覚えがありすぎる。
さらに、車に寄りかかるようにして空を見上げる横顔に目を見開き足を止めた。
「な…んで、…っ!」
その手に煙草はないけど、無表情はいつもと変わらない。
不意にコチラへ向けられた視線と、私の困惑した視線は絡まる。
何故居るんだ、どうして微笑む、今朝私は別れを告げたじゃないか。
が。
そんな思いが渦巻くと同時、何故か胸に抱いた小さくもどこか大きな゙違和感゙に私は眉を寄せた。
それが何なのかは、まだ分からない。
ゆっくりと車体に預けていた体を起こし、男は私へと歩み寄る。
さらに濃くなる違和感。


