その後。
通話を終え、私達の元に戻ってきた清水くんと明日香さんはバーに行こうかと話をしていたけど。何だか気まずさを覚え遠慮した。
――そして、帰り道。
送ると言った清水くんは明日香さんに引き摺られて呑みに行き。現在は1人だ。
一瞬、かち合った視線で明日香さんが困ったように笑ったから。きっと私が今1人になりたいと分かってくれたんだろう。
明日香さん、本当に優しい。
「…さむ…、」
マフラーを口元まで引き上げ、身を縮こまらせながら歩く。
春が近付いてきていると言うのに、まだまだ夜の気温に変化はなし。
早く部屋に帰ってお風呂に浸かりたい。そして、今日は早く寝よう。
数10分後の計画を頭の中で立てながら、自然と足取りは早くなる。カツカツとショートブーツのヒールの音が閑静な路地に寂しく響く。


