それが餌を待つ忠犬のようにしか見えなくて、思わず吹き出して笑ってしまった。
「ちょ、笑うなよ!」
「はは…、ごめん。」
口元を手で覆い隠す私に清水くんは頬を赤らめたまま私をゆるく睨んでくる。それが照れ隠しだということは直ぐに分かった。
―――三浦さんじゃ見れない表情を簡単に見せてくれる清水くん。
今朝、三浦さんに別れを告げたばかりで。本当は内心ボロボロなんだけど、正直清水くんの明るさに救われた。
だから、誘いに乗ったのはほんのお礼のつもり。
「あ、瀬尾ちゃんも呼ぼっか?」
「うん。いいよ。」
「瀬尾ちゃん、篠宮のことお気に入りだから絶対喜ぶよー!」
はにかみ、早速ジーンズのポケットから携帯を取り出した清水くんを横目に私はコーヒーを飲み干す。
微糖じゃなくて、ブラックにすればよかった。何だか、甘過ぎると感じ始めてきた。


