小さく笑って視線を缶コーヒーへと戻した私はそれをぐいっと喉に流し込んだ。
口の中に苦みと少しの甘さが広がり、胸が温かくなるような感覚にホッと息を吐いた。
「…なあ、篠宮。」
「うん?」
名前を呼ばれ、視線だけを清水くんへ流した私。何時の間にかカツサンドを食べ終わっていたらしい清水くんは、そのゴミを近くのゴミ箱へ投げ入れていた。
あ。こんなん、いつかの三浦さんもやってたな。
小さく小さく微笑は漏れたが、どうして今三浦さんが浮かんでくるのか。その消しようのない事実が悔しかった。
「(……また、三浦さんのこと考えてる。)」
自分から、さよならと言ったくせに。これじゃ意味がない。それに三浦さんにはアサノさんがいる。
邪魔するなんてこと、しちゃいけないんだから。