囚われジョーカー【完】





――――それから、私の携帯が再び振動することがないままバイト終了時刻の17時になってしまった。

なんなんだ、あの人。


多少膨れっ面になりながら、だらだらと制服から着替え。明日香さんの制服が入った紙袋を叔父さんに渡し店を出た。



その時。

自宅のアパートへと向け歩みを進めようとした私の横、フェンスを挟むようにして黒塗りの車が停まる。


あれ、なんて思うよりも早く車の助手席側のウインドーが下がり。



「菫。」

「み、うらさん…?」


朝振りに見る端正な顔がそこにあった。

少し身を屈めて、ハンドルに腕を乗せ私を見ている三浦さん。