意識を手放す前、三浦さんに「ごめん」と言われた時。

嗚呼、もうダメだと直感した。あのごめんは、そう言う意味のごめんとしか思えないんだもの。



私は、ソファーに置かれていた自分のバッグをひっつかみ玄関へと急ぎ足で向かう。


取り敢えず、早くここを出たかった。ここは、三浦さんしか感じないから私には辛い。



ショートカットのブーツに足を滑り込ませ、ドアノブを握る。


ガチャリ、外の世界へ身を投じようとした私の背中にかかる無感情な声に私は足を止めてしまった。



「どこ行くの。」


それは勿論、三浦さんの声で。振り返ることはしなかったけど足裏は地面に張り付いたように動かなくなってしまった。


順応すぎる私自身に、自嘲気味に笑ってしまう。





「…帰ります。」

「なんで。」

「大学、ありますから。」

「……なあ、菫。」

「はい。」

「お前さ、」

















―――俺のこと、好きか?