“今、そっちに三浦さんいますか?”
「いますよ。今、君が電話してますよ。」
“いや、違くて。”
「゙アイヅならいねーよ。……つか、さ。お前今日の夕方ぐらいに大通りにいたか?」
“え、何で知ってるんですか?三浦さんといたんですよ。”
「…でけー声で名前呼ぶんじゃねえよ。」
ベッドで眠る彼女に真実を伝えるのは、まだ先になりそうだと思うと頭が痛い。
あの涙は、俺には堪える。
まあ、ああさしているのは俺以外の何者でもないんだけどな。
“別に、貴方を呼んだわけじゃありませんからー。”
「黙れ阿呆。」
“しばきますよ。…まあ、いいです。夜中にすみませんでした。”
「ああ…じゃあな、麻乃。」
―――どんな理由をつけても、俺のあの態度は菫を酷く傷付けただろう。
でも、泣いて拒まれたことに腹が立ったんだ。
早く菫を楽にしてやりたいと、強く思ったけど。清水くんだけは、やっぱ嫌いだわ。


