三浦さんは、冷たい指で私の頬を撫でそのまま輪郭に沿って指を這わす。
その動きがなんだかくすぐったくて、片目を瞑り身を捩ると。それを見た三浦さんは何故か切なげに目を細めた。
そんな顔、しないでほしい。今苦しいのは私の方な筈なのに。
「……いつ起きたの。」
「…、三浦さんが部屋に入って来た時です。」
「ふーん。」
…大嘘を、ついてしまった。部屋が暗いせいか、三浦さんは私の表情が強張ったことには気付かなかったがいつバレるかと考えるだけで冷や冷やする。
先程まで雲に隠れていた月の明かりに照らされ、三浦さんの表情はより鮮明に見えた。
「……菫。」
「何ですか。」
「…お前さ、ピアス空けんの?」
「…そうですね。誰かにアクセサリー貰うなんて初めてですし。」
棒読みも棒読みだが、私の口からはすらすらとそんな皮肉る言葉が紡がれる。


